ドイツでは「入居日からすぐに生活スタート!」ということにはなりません。日本では当然と思われる設備がドイツでは整っていないのです。例えば、電気の配線はむき出しでぶら下がった状態、カーテンは枠なし、キッチンなし、さらには浴室そのものがないこともあります。すべてを一から整えなければ生活を始めることができないのです。
ドイツのアパートは「空っぽの箱」

ドイツで初めて内見して驚くことは、部屋に何もないことです。空っぽの箱を見ているような感じです。こちらがキッチンです、と言われてもキッチンないし、、、電気ないし、、、では何がないのでしょうか。
照明がない
日本では、照明器具を買って「カチッ」と取り付ければ、すぐにパッと明かりがつきますよね。でも、ドイツのアパートには、天井にシーリング(取付口)が備わっておらず、代わりに配線が天井からぶらりと下がっているだけなのです。
カーテンレールがない
日本では、窓の寸法を測ってカーテンを購入すればすぐに取り付けられますが、ドイツではカーテンレールも枠もどこにも見当たりません。
キッチンがない
これは日本人が一番驚くことなのですが、8割以上の賃貸物件にキッチンが備え付けられていません。内見で「こちらがキッチンです」と案内されても、そこにあるのは何もない空間だけです。
収納がない
アパートには、クローゼットや靴箱、傘立て、コート掛け、バスルームの棚など、いわゆる収納スペースは一切ありません。また、倉庫がある物件が多いのですが、もちろん倉庫にも収納はなく、自分で揃える必要があります。
洗面台がない
浴室に、トイレと洗面所、シャワーが一体となっていることがほとんどなのですが、洗面台を置くスペースはありますが洗面台はありません。
靴箱・鍵置きがない
日本では、どの賃貸物件でも当たり前のように靴箱が備わっていますが、ドイツではもちろんありません。靴箱がないと、玄関に靴が直置きになり、家の中に砂や泥が入り汚れてしまいます。また、重要度は低いかもしれませんが、鍵置きも備わっていません。
トイレはあるよね?
トイレは設置されていますが、ペーパーホルダーや手洗い場所、棚はありません。日本人には理解が難しいですが、便座だけない場合があります。
なぜこんなにも空っぽなの?
長期居住が前提
ドイツでは、借主が長期間住むことを前提として賃貸住宅を選ぶのが一般的です。そのため、照明やカーテンといった設備は「最初から備え付けられているもの」ではなく、自分で選び、気に入ったものを長く使い続けるものと考えられています。
原状回復・契約文化
ドイツの賃貸契約では、退去時の原状回復が重視されます。借主が設置した設備や家具は、基本的に退去時に撤去することが前提となるため、最初から何も備え付けられていない物件が多いのです。
借主の自由度が高い
設備が何もない一方で、ドイツの賃貸住宅は借主の自由度が高いのが特徴です。照明やカーテン、キッチンと、自分の好みの空間を作ることができます。
「空っぽ」であることは不便である反面、自由度が高いのは魅力的ですね。
DIY必須!ゼロから整える現実

ドイツの賃貸でDIYが必要になるのは、住宅文化や生活スタイルが日本と大きく異なるためです。
その前提やアパートの特徴については、こちらで詳しく紹介しています。
キッチンはどうやって入手する?
| キッチンを手に入れる3つの方法 | ポイント | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 現住人から引き継ぐ | 譲渡価格を交渉してお得に引き継ぎ | 1 |
| 家主さんにキッチンを付けてもらう | キッチン代を家賃に含めてもらう | 2 |
| IKEAやホームセンターで購入する | IKEAやホームセンターで購入 | 3 |
1.現住人から引き継ぐ
交渉は面倒ですが、すでに設置されたキッチンをそのまま使えるので、労力も少なくトラブルも回避しやすいです。現住人も次の家に合わせてキッチンを取り換える必要があるので、交渉に乗る人は多いです。
2.大家さんにキッチンを付けてもらう
家主さんが設置してくれれば、設置労力はもちろん、故障したときは家主さんが修理してくれるので面倒がありません。キッチン代は家賃に含めてもらえるよう交渉するといいです。
3.IKEAやホームセンターで購入する
キッチンの幅を測ってIKEAやホームセンターで購入し設置する。この一連の流れ、一見簡単そうですが実際にはかなりの時間と労力がかかります。また、退去時には処分や次の住人への譲渡も考えなくてはいけません。さらに、費用も2500~5000ユーロほどかかるため、あまりおすすめはできませんが、長期滞在なら好きなキッチンを設置できるのがメリットです。
照明ひとつでこんなにも大変!
電気の配線など、日本では理科の実験以外で触れる機会がない方がほとんで、戸惑うこと間違いなしです。全部屋ご自身で設置する場合は3日ぐらい、業者に頼むと半日です。
照明をどこに取り付けるか決めたら、電気と天井(または壁)の間に板を挟んだ方がいい場合、長さや厚さをしっかり計測です。微妙にずれると見栄えがいまいちなんです。電気、板、そして電動ドリルを準備して、いざ天井に穴開け。照明器具を取り付ける際、緑と赤の配線を間違えないようにお気を付けください。
硬い天井の場合、電動ドリルが入りにくく刃が折れてしまうことがありますので、ゆっくり進めてください。また、天井から粉状の破片が落ちてくるので、少々大変ですが、掃除機で吸いながら作業すると部屋が汚れません。
カーテンもDIY?!
窓枠の寸法を測り、カーテンレールを取り付けるための板を購入します。電動ドリルを使って窓枠周辺の壁に穴を開け、板を取り付け、そこにカーテンレールを設置します。電気同様、一見簡単そうに聞こえますがかなり時間と労力がかかります。
現住人から引き継ぐことが一番いいのですが、カーテンはあまり引き継いだ人を見たこととがありません。
ちなみに、ドイツでは多くの人がレースカーテンを使わないため、厚手のカーテンだけで生活していることが多いです。夜、明かりをつけると部屋の中が丸見えなのですが、どの家も同じなので気になりません。
ゼロから作る洗面所
洗面所は浴室に併設されていますが、水道の位置があるだけで洗面台や収納はありません。電気やカーテン同様、サイズを計測しIKEAやホームセンターで購入後、ご自身で設置するか業者に設置してもらいます。
生活する上で洗面所はかなり重要度の高い空間だと思いますので、すぐに利用できるように準備を進めておくといいです。
収納ゼロ
ほとんど収納がないのでお部屋すっきりしていますが、収納がないと生活は成り立ちませんのでIKEAなどで購入しましょう。
地震がほとんどないため、背の高い収納家具でも問題なく使えます。ただ、退去時には自分で処分する必要があるため、分解しやすいものや処分しやすいタイプを選ぶのがおすすめです。
ホームセンターで揃えよう
電動ドリルや工具、カーテンレールなどは、ホームセンター「BAUHAUS AACHEN」で手に入れることができます。特に電動ドリルは、家具の取り付けなどで頻繁に使うことになるので必需品です。

知らないと大変!事前に知っておきたい注意点
なかなか普通の生活ができない
DIYが必要ない日本の賃貸に慣れていると、ドイツで生活を始めるまでにどれほどの準備が必要か、なかなか想像できません。必死で探した物件を契約できると、
「ドイツに着いてから考えればいい」「なんとかなるだろう」と、つい楽観的になりがちです。
しかし、実際には入居日からしばらくの間、普通の生活ができない状態が続きます。
照明がないため夕方以降は部屋が暗く、洗面台やキッチンがないので手を洗うのはシャワー室、カーテンがないため夜は部屋が丸見えです。
入居後に作業を始める点は準備の有無にかかわらず同じですが、事前に準備しておくだけで、時間的・精神的な負担は大きく変わります。
無駄な出費が増える
「とりあえず必要だから」と急いで購入すると、サイズが合わなかったり、質が悪かったりして、結果的に買い直しになることがあります。計画なしで揃えてしまうと、本来は不要だった出費が積み重なり、想定以上に費用がかかってしまいます。
退去時に処分が大変
退去時は原状回復をする必要があるため、自分で設置したものは基本的に自分で撤去・処分する必要があります。大型家具や設備を選んでしまうと、処分費用や手間が大きな負担になります。
失敗を防ぐために大切なこと
ドイツの賃貸では、生活を始めるために何を設置する必要があるのか、どれくらいの期間がかかるのかを事前に把握しておくだけで、無駄な時間や労力を大きく減らすことができます。
家族がいつから合流できるのかといった点も、あらかじめ見通しを立てておくことが重要です。
物件選びでは、家賃や立地だけで判断するのではなく、「入居後に何が必要になるか」「退去時にどうなるか」まで考えておくと失敗しにくくなります。
たとえば、滞在が2年程度と決まっている場合は、家具無しより家具付きの物件を選んだ方が負担が少ないケースもあります。
おまけ①:お風呂なし物件
ドイツでは、まれに浴室そのものが備わっていないアパートがあります。「あとから設置すればいいか」と思いがちですが、専門業者に依頼しても時間と手間が非常にかかります。
そのため、どんなに立地や家賃などの条件が魅力的でも、浴室があるアパートを選ぶことをおすすめします。
便利な家具付き物件
ドイツの賃貸は基本的に家具無しですが、短期滞在者向けに家具付き物件もあります。家賃は割高になるものの、入居後すぐに生活を始められるため、研究留学など期間が限られている方にはおすすめです。
家具付き・家具無しの違いや、仲介業者の有無については、こちらで詳しく解説しています。
まとめ
ドイツの賃貸物件は、家具や設備がほとんどないことが多く入居後に自分で整えていく必要があります。照明やカーテン、キッチン、収納など、日本では当たり前のものもDIYが前提です。
最初は大変に感じますが、事前に何が必要かを把握し準備をしておくことで、時間や出費、精神的な負担を大きく減らすことができます。
文:レンガ
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