ドイツは欧州最大の経済大国として、政治、科学技術、そして文化において大きな存在感を放つ、その名の通りヨーロッパの中心です。どこの街にも旧市街があり、歴史を感じる旧市庁舎と石畳が敷き詰められた広場では、新鮮な花やチーズ、野菜が売られています。旧市街の散策通りには、宮崎駿のアニメに出てくるようなお店がズラリと並び見ているだけでも幸せな気持ちなります。また至る所に大聖堂やお城があるのもドイツならではです。
生活スタイル
ドイツの一日は、朝早くから始まります。パン屋さんは6時、スーパーは7時、一般企業は7時~8時(早い人は6時台)、学校は8時と、日本と比べて1時間以上朝が早いです。幼稚園は7時半~開いているので、通勤途中に幼稚園へ送ることも可能です。また、通勤・通学時間にはすでにスーパーやパン屋さんが開店しているので、途中立ち寄って朝食を購入するることもできます。冬のドイツは日の出が遅く8時半ごろまで真っ暗ですが、パン屋さんやスーパーが開いていると怖くなく安心です。
終業時間も早く18時には多くの人が帰宅し家族全員で夕食を囲みます。子供達の就寝時間は、日本では幼児で19時~20時ですが、ドイツ人は17時半~18時です。
幼稚園はどの州も大体、13時半・15時・16時半、ごろまでの3つの時間帯で預けることができますが、学校は低学年は毎日12時ごろで帰宅する所が多く、学童が併設されていない場合は、お昼で帰宅です。
車中心の生活なので、日本の様に、駅の近くに住みたい、という要望はあまり聞きません。通勤・通学には車、バス、トラム、自転車を利用する人が多いです。ドイツ人は喧騒から離れた静かな場所を好むことが多く、中心部から少し離れた場所の方が人気があります。
夏は日が長く22時ごろまで明るいので、17時頃から外に出てレストランやアイス屋さん、公園に行きます。子供達は噴水で水遊びをしたり、パンやアイスを食べたり、大人はテラス席でワインを飲んだり。それぞれが楽しくゆっくりとした時間を過ごします。ドイツの夏は最高です。暑くなく、明るく、心地良い風が吹いて、虫もいない。日本では味わえませんね。
水
ドイツの水は硬水なので、家のタップを回して出てくる水は硬水です。飲んでも問題ない州がほとんどですが(個人差はありますのでお気を付け下さい)、日本人には少々違和感を感じる味かもしれません。硬水が苦手な方には、ドイツ産の浄水フィルターBRITAがおすすめです。浄水フィルターが付いたボトルなので、タップの水を注げばそのまま飲めます。どこのスーパーでも手軽に購入することができ、すぐに利用できるのでおすすめです。
また、ドイツでは炭酸水が主流なので、スーパーでは普通の水より炭酸水の方が多く置いてあります。炭酸水の中にも種類が色々とあるので、どれを買えばいいのか分からなくなるかもしれません。普通の水が飲みたいのに飲んでみたら炭酸水だった、ということはよくありますので、下記の表を参考にご購入下さい。
スーパーでは、ほとんど水は6本で売られています。1本欲しい場合は、そのパックを空けて1本取ってレジに持っていきます。
空のペットボトルはスーパーで回収機に入れると少額のクーポンと交換できます。ぜひ利用してみてください。
炭酸無しか入りか | ドイツ語 |
---|---|
炭酸無し | still / ohne Kohlensäure |
炭酸入り | Sprudel / mit Kohlensäure / Klassisch |
微炭酸入り | Medium |
食事
朝と夜は、パン・チーズ・ハム・サラダ・フルーツなど、簡単に食べられる「冷たい食べ物:Kaltessen」を食べます。お昼は、スパゲッティやハンバーグ、シュニッツェル(とんかつ)など火を通した「温かい食べ物:Warmessen」を食べます。主食はパンかジャガイモで、お米も食べますが日本米ではなくタイ米です。地元のスーパーではタイ米は売られていますが、日本米はスーパーにはなく、アジアンショップにある場合があります。パンを焼く人もいるのですが、夕食時にはパン屋さんは混んでいます。
ドイツ人はバーベキューが好きなので、頻繁にやっています。日本とは違い、みんながやるのでご近所さんを気にすることなく庭でバーベキューができます。家族だけでなく、友人を招待してやることも多々あります。バーベキューに招待された場合、お土産で悩んだときは、唐揚げや枝豆などを持っていくと喜ばれます。幼稚園や学校でも、クラスで親子参加のバーベキューパーティがあるところもあります。その場合は、お肉の他、各自が1品ずつ持ち寄ります。
洗濯機の利用時間と干す場所
各アパートや地域で洗濯機を利用して良い時間が決まっています。例えば、「日曜は終日利用禁止」「夜20時以降は利用禁止」などです。
洗濯物を外に干す習慣はないので、家の中か共同の洗濯室がある場合はそこの物干し竿に干すか、乾燥機を利用します。アパートは、地下が洗濯機置き場の場合が多いので、そこに洗濯乾燥機を置くことができます。家の中でも脱衣所にセットで置けるスペースがある物件もあります。
外から見えない位置であれば、ベランダやバルコニーに干して良いアパートもあります。景観を損ねないのであれば外でも大丈夫です。
マンションには縛りが色々とありますが、戸建てでしたら外に干しても大丈夫ですし、時間を気にする必要はありません。
賃貸物件を借りる際に、契約書または契約してからの利用規約を確認するといいです。
エアコン
各家庭(賃貸物件含む)にはありません。スーパーや公共機関、大学、企業には設置してあります。ドイツは、気温は30度以下で湿度も低いので、日本のように「暑さが辛い」とは感じません。暑い日は何日かありますが、熱中症になるレベルではありません。エアコンの代わりに、どの家も窓を開けるか、扇風機を利用します。真夏は扇風機がすぐに売り切れてしまうので、早めに購入するといいです。暑くて眠れない日々が続くので、扇風機があると快適に眠れるのでおすすめです。
働き方と家族との時間
朝は8時までに始業、夕方は17時までには終了している企業が多いです。残業はなく、短い時間で集中してやる人が多く、打ち合わせ中でも残作業があっても時間になったら終わりにします。もちろん、一概には言えませんが、このような方が多いです。まれに、おしゃべりばかりして仕事をまかせっきりにする方もいます。
日本人が一番驚くことは、休暇の長さです。長期休暇は、夏休みは2週間~4週間が一般的で、2週間しか取得できない場合は、今年は残念ながら2週間しかない、と残念がる人もいるほど休暇を大切にしています。冬休みはクリスマスがあるので特に大切で、クリスマス休暇の前辺りからソワソワしている人が多く、あまり仕事が進みません。お正月はないので、1月2日から働き始めます。
休暇はほとんどが家族で過ごすこというほど、家族との時間を大切にしています。土日にパパだけゴルフに行ったり飲みに行くことはあまり聞いたことがありません。食事は家族全員で取り、休日は家族で過ごし、幼稚園や学校の行事は全員で参加する。物事の考え方が家族単位です。
子供とワンコ
子供とワンコにとって、とても住みやすい国です。
バスや電車で子供が騒いだり泣いたりすると、近くにいる人があやしてくれます。駅の階段やバスの乗り降りでも、すぐに近くにいる人が来てバギーの上げ下ろしを手伝ってくれます。子供の声や室内での足音で苦情を受けることはあまりないはずです。
ワンコはスーパー以外、どこでも連れて行けるので安心です。ほぼどこのレストランでもワンちゃん用の水が用意されています。家具屋さんやホームセンターなども入れます。スーパーは入店はできませんが、入り口にワンコの綱をつなげられる場所があります。
ドクターは特別
ドイツでドクターを持っていると一目置かれます。至る所で、ドクター取得者か否かを聞かれ、家のネームプレートにDr.xxxと書いている人もいます。駅の駐車場を予約する際にも、ドクター取得者かどうかを選択する欄がありますし、幼稚園の申込みサイトでも、ドクター取得者かの入力欄があります。
治安
どこの州でも中央駅周辺は治安が良くありません。デュッセルドルフの中央駅周辺やメイン通りでは麻薬中毒者や飲酒者が多く、明け方は道端に注射針が落ちていることもあります。中都市アーヘンでも麻薬を配っている地域があったり、中央駅周辺ではお酒の空きビンが転がっていたり、朝から飲酒して話しかけてくる人もいます。
スリ
在ドイツ日本国大使館によりますと、「身近な犯罪であるスリ、置き引き、ひったくりなどは引き続き高い水準で発生しており、人口10万人あたりの犯罪発生率は、日本の約10倍となっています。」と発表しています。
レストランで少し席を離れるときも必ず所持品は持参したほうがいいですし、バックの上部が開いているものではなく、しっかりとチャックなどで開閉できるものがいいです。また、スーツケースを持っているときもお気を付け下さい。スーツケースを脇に置き、少し目を離したすきに取られてしまったということはたまに聞きます。
大都市では頻繁に、スリにあった、と言う話は聞きますし、中都市アーヘンでもたまに聞きます。どこの地域にもいますので、スリ・置き引き、には注意を払って行動しましょう。
医療
医療レベルは日本同様高いです。医院での予約はすぐには取れないことが多く、少なくとも2週間、長い時だと数ヶ月先まで待つ必要があります。緊急で無い限りは当日診てもらうことは難しいので、常備薬を日本から持ってきたほうが賢明です。
ドイツでは風邪をひいても、病院に行き薬をもらうことはありません。ハーブティーを飲んで家で寝て治す方法が主流です。どうしても風邪薬が欲しい場合は、薬局で薬剤師さんに相談をし症状に合うものを選んでもらい、購入することができます。処方箋がなくても実費ですが、病院で処方されるものと同様の薬を購入できます。
抗生剤はどの病院でもほぼ処方されません。風邪のときは、咳止めと鼻水止めをくれる場合もありますが、インフルエンザになったときはイブを処方されるだけです。
ホームドクター
ドイツの公的保険では、ホームドクター制度が設けられています。ドイツに留学や赴任した場合には、ホームドクター(Hausarzt)を見つけてください。近所の内科を1度受診するとそこがホームドクターになることが多いです。ホームドクターは簡単に変えることはできないのでお気を付けください。ホームドクターが休診日に他の医院にかかりたいと思っても診てもらえません。もし診てもらうと、そこがホームドクターになる場合もあります。
デュッセルドルフの医院と薬局は日本語が通じます。
人間ドック
ドイツでも人間ドックを受けることができます。内容は日本とほぼ同じで、料金も同じぐらいです。どれくらい補助をしてもらえるかは加入している保険会社によって変わりますので、必ず人間ドックを受診する前に保険会社に確認してください。
デュッセルドルフ近郊にお住まいの方は、ノイゲバウア馬場クリニックがおすすめです。日本人、ドイツ人どちらの先生も日本語が話せますし、丁寧に検査してもらえます。専門的な検査(例:婦人科検診など)は近くのクリニックに移動して検査します。
電車・バス
電車
ドイツの電車は、他国に比べて比較にならないほど頻繁に遅延します。予定時刻から30分以内に来れば「今日はなかなか早く来たな」と感じます。たまに時間通りに来るので、予定時刻に間に合うようにホームにいることが良いのですが、遅延は当たり前と思っていると良いです。また、予定していた駅まで行こうとホームで待っていると、「今日はxx駅までは行けなくなりました」とアナウンスがあることも頻繁にあります。旅行中はパニックですが、その際は、駅員さんに頼ってください。大きな駅でしたら「Information」があるので、そこで別ルートの代替え案を教えてもらえます。Informationがない場合でも駅員さんに聞いて下さい。別ルートを何とか探してくれます。
なかなか経験できない電車珍道中についてはこちらをお読みください。
ドイツは、改札がないので、切符を購入してから駅員さんに見せたり回収したりはありません。電車の中で車掌さんが各席をまわり、切符を確認します。その際、無賃乗車であると罰金を支払うことになるので切符は必ず購入しましょう。(その場で罰金を現金で要求されることはないそうです)
また、Deutsch Bahnでは早期割引があるのでお得です。もし出発日が決まっているのであれば早めの購入がおすすめです。チケット購入と同時に席を予約することができるのですが、その予約席が半分ぐらいうまると、チケット代が安くなっていくことがあります。こまめにチェックするととてもお得に乗れることがあります。
Bahn Card25、を契約すると、チケットが25%オフになります。100€のチケットを購入した場合、その値段から25%オフになるのでお得ですね。ただ、気を付けなければいけないのは、3ヵ月で解約しないと1年間の縛りがあるので、毎月お金だけ払うことになります。また、契約日によっては2ヵ月間は契約していないといけない場合があります。電車に頻繁に乗る在住者にはお得かと思いますがサブスクリプションについてはお気を付け下さい。
チケットの予約、Bahn Card25の購入は下記からできます。
バス
バスは電車とは異なり時間通りに来ます。たまに、その時間に来る予定だったバスが来ない場合があります。13時、13時20分、13時40分・・・と来る予定なのですが、13時20分が来なく13時40分が来る、など。不思議ですがたまにあります。
かなり日本とは異なるバス事情について知りたい方はこちらをお読みください。
車
軽自動車とミニバンはありませんが、家族用の大きめの車はあります。日本車の車種名は日本とは異なりますが同じものを探すことは可能です。日本とは異なり、マニュアル車が主流です。
駅近くよりも少し離れた場所の方が治安が良く住みやすいので車があると便利です。ドイツで車の購入やリースはハードルが高いと不安になるかと思いますが、日系企業の代理店があるので安心して取引できます。
ドイツで車の購入・リースを検討している方は、こちらのサイト「Auto Broker」がおすすめです。日系企業でとても親切・丁寧にサポートしてくれます。
免許は、渡独後6ヵ月以内に書き換えをする必要があります。1年以内の研究留学でしたら、免許の書き換えではなく、国際免許でもいいかと思います。
高速道路
どこの高速道路も無料です。6割の道路では制限速度は設けていませんが、制限速度がある場所でスピード違反をすると、後日請求書と共に証拠の運転中の写真が送付されます。その写真、いつ・どこで撮られたのか全く気が付かないのでニッコリ笑っている場合もあり、一緒に罰金が記載されている請求書が入っているので、何とも言えない気持ちになります。
制限速度がない場所では猛スピードで走っている人もいますので、車線変更にはお気を付け下さい。
配達
例えばAmazonなどで配達依頼をした場合、日本と比べると遅いですが、早めに到着します。不在時は、置き配ロッカーが各マンションにあるのではなく、ご近所さんに荷物を渡して帰ります。不在票がポストに入っている場合もあれば無いこともあります。不在票があればこちらから取りに行くことができるのですが、無い場合はご近所さんがピンポンとお届けしてくれます。
また、スーパーなどに置き配ロッカーが設置されているので、そこで受け取ることも、近くの郵便局を指定して受け取ることも可能です。
日本からの荷物を送る場合、税関を考慮する必要があります。もし税関でストップすると非常にややこしいことになりますので、事前に送り方や値段を確認するといいです。アーヘン市の話になりますが、詳しくは下記をお読みください。
買い物
スーパー
大きなカートにボンボン入れていくのですが、カートは初めにコインを入れます。子供用のカートは無料です。野菜や果物はグラム売りなので、表示価格にはお気を付け下さい。ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎは激安です。箱入りのアイスはとても甘いです。目が覚めます。
日本人にとって難関なのは、レジです。IKEAの様に、商品をベルトコンベアーに乗せていき、レジのお姉さんがピっとした商品をどんどんエコバッグに入れます。後ろに他のお客さんが並んでいると、早くしないと!と少々焦りますが、他のお客さんもレジのお姉さんも気にしていないので大丈夫です。
精肉店
ほとんどの精肉店では薄切り肉はありません。もし希望するなら、薄切り肉にして欲しい旨を伝えるといいですが、日本の薄切り肉にはなりません。デュッセルドルフには日本人がおおいので薄切り肉を提供している精肉店がありますが高額です。
子供には必ずハムをくれるので、子供達はスーパーでお肉屋さんに行くことを楽しみにしています。
パン屋
日本と異なり、ウィンドウの中にパンが並んでおり自分でトレーを持って取るのではなく、店員さんに注文して購入します。夏場はハチが甘いパンの上を飛んでいますが、店員さんが払うわけでも、お客さんが嫌がるわけでもありませんし、気付いたらその状況に慣れますので、日本に帰国した時は少々違和感を感じます。
パンの国だけあってどのパンも美味しいです。日本のようにフワフワではなく、ドッシリしています。色々な種類のパンがあるのですが、酸味の効いた食パンは日本では食べたことがなかったです。
子供には小さな丸いパンを、ワンちゃん連れの場合は、ワンちゃんにもくれます。
ケーキ屋さん
全てのケーキが驚くほど甘いです。ドイツで生活を始めて1年間はその甘さには慣れずケーキ屋さんは楽しみではなくなるかもしれませんが、こちらもパン屋さん同様、気付いたらその甘さに慣れ、日本帰国時は日本のケーキのあっさりした甘さに違和感を感じます。
ドイツ人に人気のお米で作ったケーキは、日本人の大人には少々難しいかもしれません。お米と砂糖を混ぜることに違和感があるのですが、子供は好きです。日本にはないケーキなのでぜひ見つけたら食べてみてください。
気候
地域によって気温、降水量、日照時間がかなり異なります。詳しくはこちらの外部サイトを参考にしてください。