ドイツの医療レベルは高く、全国どの地域でも充実しているため、安心して病院を受診できます。病院代や薬代は基本的に無料です。また、病院に行くほどではない場合は、薬局で処方箋なしで薬を購入することも可能です。

ドイツの医療の特徴
病院代、薬代は無料
健康保険に加入していれば、病院代や薬代は基本的に無料です。健康保険は、公的保険とプライベート保険公的保険の2種類があり、公的保険加入者は、人間ドッグや健康診断(年齢によって一部補助あり)、ブリッジやインプラントは自費です。プライベート保険は、全額カバーの場合が多いです。
健康保険については、詳しくは下記をご覧ください。

予約は必須!突然の訪問はNG
クリニックは完全予約制のため、必ず事前に予約が必要です。特に専門医(整形外科や皮膚科など)は予約が数週間~数ヶ月待ちになることもあり、すぐに診てもらうのは難しいです。
風邪の場合、内科であれば当日予約が可能なこともありますが、基本的には早めの予約が必要です。予約なしで突然訪れると、受付で断られたり、怒られることもあるので注意しましょう。
ホームドクター(かかりつけ医)制度
公的保険では、ホームドクター(かかりつけ医)制度が導入されています。最初に受診した内科医が「かかりつけ医」となり、その後も基本的に同じ医師の診察を受けることになります。
ホームドクターは簡単には変更できないため、慎重に選んでください。また、休診日に他の医院を受診しようとしても、ホームドクター以外では診てもらえない場合があります。
初診までには時間がかかるので、渡独後できるだけ早くかかりつけ医を探すといいです。
妊婦検診はクリニック、出産は総合病院
ドイツで出産する場合、妊婦検診はクリニック(Frauenarzt / 産婦人科)で受診し、出産時には総合病院(Krankenhaus)へ転院します。妊娠が分かったら、まずは近くの産婦人科を見つけ、定期的な妊婦検診を受けましょう。
妊婦検診~出産までの流れについては詳しくはこちらをお読みください。

常備薬の持参
クリニックは予約が取りづらく、かかりつけ医が決まるまで時間がかかるので、日本から常備薬を持参するといいですね。風邪薬や頭痛薬、胃薬、お子様の風邪薬や熱さましはあると安心です。
病院の種類
Praxis:近所のクリニック
体調が悪いなと思ったら初めに行くのが近所のクリニック(Praxis):かかりつけ医です。外来のみで入院設備はありません。かかりつけ医で検査をして、もし何かある場合は紹介状を書いてもらい、総合病院や専門医を受診します。英語は片言しか話せない医師もいるため、予約時に英語対応が可能か確認するといいです。
どこのクリニックも予約が必要ですが、オンライン予約がいっぱいの場合でも電話で予約交渉すると取れる場合があります。
Krankenhaus:総合病院
入院施設がある病院で、紹介状が必要で突然行っても受け付けてはもらえません。総合病院で手術や出産をした後に通院が必要な場合は、再度クリニックに通院します。
休日・夜間の救急外来があります。
Uniklinik:大学病院
クリニックや総合病院から紹介状をもらい受診します。妊婦検診で何か異常が見つかるとUniklinikでの出産になります。
休日・夜間の救急外来があります。
日本語が通じる病院
日本語での診察を希望する場合は、デュッセルドルフの医院がおすすめです。デュッセルドルフには日本人医師がいるクリニックが多数あり、薬局でも日本語対応が可能なので、ドイツ語や英語に不安がある方には便利です。
薬局(Apotheke)

処方箋なしでの薬の購入
風邪かな?と思ったときや、病院に行くほどではない軽い症状の場合 は、薬局(Apotheke)で薬剤師に相談すると、症状に合った市販薬を処方箋なしで購入できます。
ただし、病院を受診すれば薬代は無料なので、長引く場合や症状が重い場合は、受診したほうがいいですね。
風邪の対処方法
ドイツでは、風邪をひいた場合、基本的に大人はハーブティーを飲んで自宅で休むというのが一般的な対処法です。
病院を受診しても、日本のように積極的に薬が処方されることはほとんどありません。ただし、イブプロフェン(解熱鎮痛剤)は比較的よく処方されます。咳がひどい場合には、咳止めが処方されることもありますが、抗生剤は処方されません。インフルエンザでも、処方されるのはイブプロフェンのみということが多いです。
基本的に自然治癒なんですね。例えば、「3日経っても熱が下がらなければ、また来てください」と言われ、さらに熱が続く場合も「5日経ったらまた来てください」と対応が進み、気がつけば自然に回復していることが多いです。
歯科
保険適用外の治療
歯科治療には、保険適用のものと適用外のものがあります。虫歯の治療や基本的な処置は公的保険の適用範囲ですが、白いブリッジや審美歯科治療は適用外です。
保険の種類(公的保険 / プライベート保険)によっても適用範囲が異なるため、治療前に確認するといいです。
治療と抜歯は別の医院
日本と異なり、ドイツでは「治療を行う歯科(Zahnarzt)」と「抜歯を行う口腔外科(Kieferchirurg)」が分かれています。
例えば親知らずを抜歯する場合、まずはかかり付けの歯科医院から紹介状をもらい、抜歯専門のクリニックで日程を調整します。基本は個室で、歯科医と複数の助手が対応します。衛生面はとても安心です。
抜歯には事前の診察と紹介状が必要になるため、早めに歯科医に相談するといいですね。
技術レベル
個人的な印象ですが、日本の歯科医の方が技術が高く、治療が丁寧だと感じます。例えば、銀歯やブリッジの装着を歯科助手が担当することがあり、「しっかり固定されているかな?」と少し不安になることがあります。また、定期検診やクリーニングは短時間で終わるため、「歯石がきちんと取れているのかな?」と気になります。
日本人医師
デュッセルドルフには日本人の歯科助手がいるクリニックがあり、通訳付きで治療を受けることができます。 日本語を話せる歯科医師はお会いしたことはありません。
健康診断
保険の種類によって、人間ドックや一般検診の補償内容が変わりますので、必ず受診前にご確認下さい。
おすすめのクリニック
デュッセルドルフ近郊に住んでいる方には、ノイゲバウア馬場クリニックがおすすめです。日本人医師とドイツ人医師(日本語対応可能)、日本人看護師が在籍しているため、安心して検査を受けられます。
基本健康診断、人間ドックどちらも受けることができます。検査内容によっては、近くのビルにある専門クリニックへ移動して受診します。
当番医と救急外来の利用方法
ドイツでは、水曜午後は多くのクリニックが休診となります。また、土日・祝日も通常のクリニックは開いていないため、体調を崩した場合は当番医(Notdienst)もしくは救急外来(Notaufnahme)を受診します。
当番医の検索方法
診療可能な当番医(Notdienst)を探す方法は、以下の2つがあります。
① ドイツ全土対応のコールセンターで確認
- 「116」に電話し、郵便番号を伝えると、その日の当番医を案内してもらえます。
- 例:「今日の内科の当番医を教えてください」などと伝えると、対応可能な医療機関を教えてもらえます。
② 地域ごとの当番医リストをウェブサイトで確認
- 各地域の公式サイトには、小児科・内科・外科などの当番医リストが掲載されていることが多いです。特にお子様がいる場合は、小児科の当番医リストを早めに確認しておくと安心です。
救急外来
救急外来は非常に混雑しており、待ち時間が長いため、緊急性がない場合は次の日に通常の診療時間に受診する方がいいです。特に、夜中にお子様が体調を崩した場合、数時間待たされることがあるので、あまり無理して行くことはおすすめしません。(とはいえ、心配で連れて行ってしまうのですが、、、)
アーヘンの救急外来については、こちらをお読みください。

まとめ
ドイツの医療レベルは高く安心ですが、予約が取りにくいため、常備薬を持参し、早めにかかりつけ医を見つけることが大切です。
歯科治療は日本と異なり、「治療」と「抜歯」が別の医院になります。親知らずの抜歯は「歯科医院」の紹介状が必要なので、まずは歯科医院を受診しましょう。
土日・祝日は「116」に電話をして当番医を教えてもらうか、救急外来(Notaufnahme)を利用します。救急外来は待ち時間が長いため、次の日まで待ち通常診療時間に受診するか検討しましょう。
文:レンガ
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