ドイツでは、10歳、つまり小学校4年生で進路が決まります。
日本のような受験はなく、日々の成績や先生の評価によって、大学進学か職人になるか決まるのです。
また、ドイツでは留年や飛び級もあり、日本の教育制度とは大きく異なります。
本記事では、ドイツの教育制度や進路の分かれ方、日本との違いについて紹介します。
ドイツの小学校全体の仕組みについては、こちらの記事でまとめています。

ドイツでは10歳で進路が決まる
日本の高校受験とは異なり、10歳で大学進学が決まる点は日本人には衝撃です。
小学4年生終了後に進路が分かれる
ドイツでは、小学校は4年間で、その後に進路が分かれます。
進学先は以下4つです。
- Gymnasium(8年)
大学進学を目的としたコース - Realschule(6年)
専門学校や職業訓練(Ausbildung)を目的としたコース - Hauptschule(5年)
就職や職業訓練を目的としたコース - Gesamtschule(8,6,5年)
上記3つの学校がまとまった学校
日々の成績で進路が決まる
日本のような受験はなく、日々の成績と先生の評価によって進路が決まります。
特に小学校4年生前半の成績が重要な判断材料となり、ドイツ語・算数・生活の3教科の平均が進学先を決める基準となります。
Gymnasiumへの進学には、主要3教科の成績の平均が2.3前後であることが目安とされていますが、州や学校によって基準は異なります。
ドイツの小学校のテストについては、こちらの記事をお読みください。
親の希望との関係
小学校4年生前半までの成績をもとに、学校がどの進路に進むのが適切かを推薦します。
州によっては学校の推薦が重視される場合と、最終的に親の希望で進路を決定できる場合があります。
進学先
進学先は3つあります。日本人だけでなくドイツ人の親も行かせたいのは大学進学コースのギムナジウムです。
Gymnasium(ギムナジウム)
大学進学を目指す学校で、最も学力レベルが高く、ドイツでも、親が最も進学を希望する学校です。
5年生から12年生(州によっては13年生)まで通います。
最終的にAbitur(大学入学資格)を取得することで、大学への進学が可能になります。
入学には小学校4年生の成績が基準となり、主要3教科の平均が2.3前後が目安とされています(州によって異なります)。
Realschule(レアルシューレ)
中程度の学力層向けの学校で、卒業後は職業訓練や専門学校への進学が一般的です。
5年生から10年生まで通う学校で、日本の中学校から高校1年生程度にあたります。
大学進学を目指す場合は、難しいですがギムナジウムへ編入することも可能です。
Hauptschule(ハウプトシューレ)
実務的な教育を中心とし、卒業後は職業訓練(Ausbildung)へ進みます。
5年生から9年生まで通う学校で、日本の中学校にあたります。
早い段階から職業に向けた準備を行うのが特徴です。
Gesamtschule(ゲザムトシューレ)
Gymnasium・Realschule・Hauptschuleを統合した学校です。
学習状況に応じて進路を後から選択できるなど、柔軟な制度が特徴で、近年増加しています。
義務教育の期間
ドイツの義務教育は、6歳から約9年間(州によっては10年間)とされており、小学校(Grundschule)と中等教育前期(Sekundarstufe I)にあたります。
この期間は、通う学校の種類(Gymnasium・Realschule・Hauptschuleなど)に関わらず共通です。

RealschuleからGymnasiumへの編入の可能性
一度決まった進路でも、成績や状況に応じて変更することは可能です。ドイツでも、より良い進学先を希望する家庭は多く、RealからGymnasiumへの編入は実際にあります。
編入は、テストや評価が必要なので、簡単ではありません。学校によっては、編入後に1年留年することが条件の場合もあります。
また、学校ごとに授業の進み方や求められるレベルが異なるため、編入後はそれに追いつくための追加の学習が必要になります。
制度としては変更可能ではあるものの、実際には非常に大変です。
留年は珍しくない
ドイツでは、留年や飛び級は珍しいことではありません。
日本では、留年=ネガティブ、なイメージがありますが、ドイツでは「子どもの成長や理解度に合った環境で学ぶことが最も重要」という考え方です。
そのため、「まだこの学年の内容が難しい」と学校が判断した場合は、留年の提案がされます。
最終的に留年するかどうかは保護者の判断に委ねられるので、進級を選択することも可能です。
ただし、学年が上がるにつれて学習内容の難易度も上がるため、3年生以降で提案された場合は慎重に検討したほうがいいです。
実際の例で、1年生で留年を提案された生徒が、保護者の判断で進級を選択したケースがあります。
「2年生でついていけなければ留年」という条件のもとで進級し、家庭での継続的な学習サポートによって、その後は問題なく3年生へ進級しGymnasiumへ行きました。
必ずしも留年と言われたからその通りにした方がいいとも限りません。
飛び級制度もある
学習の理解が早い、成績優秀な子どもについては、飛び級をすることがあります。
ただし、留年と比べると数は少なく、学力だけでなく、精神的な成熟度や学校での適応力なども考慮されて判断されます。
そのため、誰でも簡単にできるものではなく、学校側との相談のうえで慎重に決定されます。
ドイツと日本の小学校の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
外国人の子供のサポート
ドイツ語の習得状況は、進路に大きく影響します。
特にドイツ語では文章理解や表現力が重視されるため、語学力が不十分な場合は成績にも影響し、進学先の選択肢が限られることもあります。
そのため、語学面を考慮して1年下の学年からスタートするケースもあります。
一方で、ドイツの学校には、ドイツ語が話せない移民や外国人向けのクラス、補習授業(DaZ)などのサポート制度があります。地域や学校によって差はありますが、外国人の子どもが学校生活に適応できるよう支援が行われています。
まとめ
ドイツでは、小学校4年生終了後の10歳で進路が分かれるため、3〜4年生の成績や先生の評価が非常に重要になります。
日本のような受験制度とは異なり、日々の学習態度や授業への取り組みが進路に大きく影響するのが特徴です。
また、ドイツでは留年や飛び級も珍しくなく、「子どもに合った環境で学ぶ」という考え方が日本とは大きく異なります。
ドイツで子育てや留学を考えている方は、こうした教育制度の違いを事前に理解しておくことが大切です。
ドイツでの子育てや学校、生活立ち上げについて不安がある方は、お気軽にご相談ください。
文:レンガ