ドイツの小学校では、日本とは異なりテストの開始時期や成績の付け方、評価の基準が大きく異なります。
特に成績は進路に関わるため、親のサポートも重要になる場面が多くあります。
本記事では、ドイツの小学校のテストや成績評価の仕組み、親の関わり方、塾や学習方法について実体験をもとに整理します。
ドイツの小学校全体の仕組みについては、こちらの記事でまとめています。

ドイツの小学校の成績評価の仕組み
成績は「1〜6」で評価
ドイツの小学校では、3年生から本格的なテストと成績評価が始まります。
成績表は、通常「1〜6」の数字で評価されます。日本とは逆で、数字が小さいほど良い評価となります。
1、2年生の間は数値での評価はなく、日本の「大変よくできました」のようなコメント形式で行われます。
テストの点数と評価の関係
ドイツのテストは、日本のような100点満点ではないことが多く、35点や58点などバラバラの配点で実施されます。
その点数をもとに、一定の基準で1〜6の評価に換算されます。体感としては、5点刻み程度で評価が分かれるイメージです。
また、評価はさらに細かく「2+、2、2-」のように3段階で分けられます。
例えば、50点満点で50点を取った場合は「50点、1」、45点の場合は「43点、2+」といった形で評価されます。
また、ドイツではテストの点数だけで成績が決まるわけではなく、授業態度も重要な評価対象となります。
手を挙げる回数や発言の積極性、グループワークへの参加などがチェックされ、最終的な成績に反映されます。
そのため、授業に参加しないと成績は上がりにくい仕組みになっています。
実際に、日本人の子どもで「テストは満点なのに成績が伸びない」ということがよくあります。発言率や授業参加が低いと、評価に大きく影響します。
小学校の段階ではテストの比重がやや高い印象がありますが、中等教育(Sekundarstufe)に進むと、テストと授業態度の比率はおおよそ50%ずつになります(教科によっては授業態度の比重が高くなる場合もあります)
ドイツの小学校のテスト
テストは3年生から本格的に開始
どの学校でも基本的に3年生から試験が始まり、3年生は隔週、4年生になるとほぼ毎週のペースでテストが行われることもあります(州や学校、先生によって異なります)。
2年生の終わり頃からは、3年生に向けた準備として簡単なテストが行われることもあります。例えば、足し算や掛け算の100問テスト(制限時間5分程度)などがあり、日本の公文に近い内容です。
これらは正式な成績評価ではなく、信号や天気マーク(晴れ・曇りなど)で表されることが一般的です。
テストの種類
テストには主に、Klassenarbeit(メインテスト)とTest(小テスト)の2種類があります。
どちらも成績の評価対象ですが、特にKlassenarbeitが大きく影響します。
テスト内容は、必ず授業で習った範囲から出題されるのが基本で、この点は高校生まで同様です。
テスト前は親のサポートが重要
テストの日程や範囲は、担任の先生から事前にメールで連絡が来ることが一般的です。
「〇月△日に〇〇のテストを実施します。範囲は〇〇です」といった内容が送られてきます。
それをもとに、家庭での学習サポートが行われることが多く、特に3、4年生の段階では親のサポートが重要になります。
まだ自分でテスト範囲を把握して計画的に勉強するのは難しいため、保護者がメールを見落としてしまうと対応が遅れてしまうこともあります。
この連絡を見逃さずサポートすることが非常に重要になります。
成績は進路(Gymnasium)に影響
小学校4年生で進路が分かれる
ドイツでは、小学校4年生終了時に進路が分かれます。
成績に応じて、Gymnasium(大学進学コース)やRealschule(専門学校コース)などへの進学が決まります。
日本のように中学受験や高校受験があるわけではなく、日々の授業態度とテストの成績がそのまま進路に影響する点が大きな特徴です。
特に重要なのは4年生前半の成績
進路の判断においては、特に4年生前半の成績が重要とされます。
ただし、4年生前半の時点で基準に届かなくても、後半で成績を伸ばすことで進学できることもあります(州によって最終判断の時期は異なります)。
評価対象となる教科
評価対象となるのは、以下の3教科です。
・Deutsch(ドイツ語)
・Mathematik(算数)
・Sachunterricht(生活)
これらの教科の比重はほぼ同じです。
Gymnasium進学の目安と現状
Gymnasiumへの進学には、主要3教科の平均が2.3前後であることが一つの目安とされています。
以前はクラスの約30%程度が進学すると言われていましたが、現在では地域によっては50%程度が進学することもあり、進学率は上昇傾向にあります。
背景としては、大学進学を希望する家庭が増えていることが影響しています。
ドイツの進路の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
親のサポートの必要性
家庭でのサポートは想像以上に重要
ドイツでは、日本と比べて家庭でのサポートが非常に重要になります。
宿題の内容を一緒に確認したり、理解できていない部分をフォローすることが求められることもあり、「学校に任せる」というよりも「家庭と学校で一緒に進める」という感覚に近い印象です。
ドイツ語が壁になる
特にドイツ語が母語でない場合、授業内容の理解や宿題のサポートに苦労することがあります。
問題の意味が分からないまま進んでしまったり、親が内容を理解できずフォローが難しい場面もあります。
テスト前はサポート必須
テストの日程や範囲は、学校からメールで連絡されることが一般的で、それをもとに家庭で準備を進める必要があります。
3、4年生の段階では、自分でテスト範囲を把握して計画的に勉強するのは難しいため、親が関与しないと十分な準備ができないこともあります。
実際には、親が内容を確認し、必要に応じて一緒に復習するといいです。
「放っておくと差がつく」仕組み
ドイツの教育は、自主性を重視する一方で、家庭のサポートによって差が出やすい仕組みでもあります。
サポートが十分にできる家庭とそうでない家庭では、理解度や成績に差が出てしまうこともあります。
特に進路が関わる3、4年生では、この差がそのまま進学先に影響する可能性もあります。
学校生活や授業の進め方については、こちらの記事でまとめています。
ドイツの小学生は塾に通う?
ドイツでは小学校から大学入試(Abitur)まで、基本的に授業で習った範囲からテストが出題されます。
そのため、日本のように受験対策を目的とした進学塾はありませんが、補習(Nachhilfe)や家庭教師、Abitur試験前の対策講座などはあります。
ドイツに塾はない
ドイツでは、日本のように塾に通う文化はありません。
小学生の学習は家庭でサポートすることが多く、親が教えることが中心となります。
学校によっては、算数やドイツ語が苦手な子ども向けに補習授業が設けられていますが、これは授業についていくことが難しい生徒を対象としたものです。
日本のように受験対策を目的とした進学塾はなく、学校で習った範囲を超えて教える塾は基本的に存在しません。
家庭教師や補習(Nachhilfe)を利用
家庭でのサポートが難しい場合は、家庭教師を利用することがあります。
語学補習(DaZ)の先生が個別に教えることもありますが、多くはGymnasiumの上級生(10〜11年生)や大学生が教えます。
低学年のうちは一緒に本を読んだり、3、4年生になるとテスト対策を行ったりと、実際にはかなり実用的なサポートが受けられることもあります。
ただし、学生であるため、時間管理やスケジュール面では大人の家庭教師ほど安定しない点には注意が必要です。
家庭学習に使われるアプリ
ドイツの小学校では家庭学習のサポートも重要ですが、日本人家庭の場合はドイツ語の壁があり、特に負担が大きくなりがちです。
そのため、家庭学習を補助するツールとして、学習アプリの活用がおすすめです。
無料でも十分に使えるものが多く、まずは気軽に試してみるといいです。特にAntonは、学校の宿題として利用されることもあるため、早めに慣れておくと安心です。
また、渡独前のお子様にとっても、ドイツ語に慣れておくことは大きな助けになります。
Amira
ドイツ語の本を読むことができる学習サイトです。
読み聞かせ機能があるため、まだ文字に慣れていないお子様でも取り組みやすいのが特徴です。
言語選択はありませんが、操作自体はシンプルで、慣れれば問題なく使えます。
Duolingo
子どもから大人まで利用できる語学学習アプリで、特に初心者に向いています。
ゲーム感覚で進められるため、ドイツ語に初めて触れる場合にも取り組みやすいのが特徴です。
Anton
ドイツの小学校で、授業や宿題にも使用されている学習アプリです。
初心者にはやや難しいため、Duolingoなどである程度慣れてから、Klasse1(1年生レベル)から始めるのがおすすめです。
右上から言語の変更も可能です。
まとめ
ドイツの小学校では、3年生からテストと成績評価が始まり、「1〜6」で評価されます。テストだけでなく授業態度も重視されるのが特徴です。
また、4年生で進路を決定するため、3、4年生の成績は重要になります。塾に通う文化はなく、その分家庭でのサポートが大きな役割を担います。
実際に、「どこまで親がサポートすればよいのか」「どのように教えればよいのか」「テストにはどのような内容が出るのか」などで悩まれる方も多くいらっしゃいます。
家庭での学習サポートやテスト対策について、具体的なご相談も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
文:レンガ